東洋医学を説明するために4つの段階に分けてお話ししたいと思います。
◆東洋医学でいう人体の生理(生体観)
現代医学では人体は飲食物を体に入れ、それを内臓で消化吸収、運搬し、栄養から血やエネルギーを生み出し、活動します。東洋医学でもこれと同じように生体をとらえますが、違う部分もあります。東洋医学では人体は飲食物、大気を摂取し、五臓六腑で気・血・津液(き・けつ・しんえき)を生成し、それらは経絡で運ばれてすべての五臓六腑を養い生理活動を正常に行わせ、経絡でさらに運ばれて人体全体を栄養し、成り立たせます。
◆続いて病理
病因と呼ばれる病気を起こさせる原因により、気・血・津液の生成、運搬、代謝等に異常が発生して、病的症状が発生すると考えます。病因にはさまざまなものがあり、気候などの外的環境から、患者様本人の精神状態、飲食不摂生のような生活習慣などがあります。
その人を取り巻く外的要因・内的要因すべてがその人の体に影響を与えると考えるのは東洋医学独特の考え方でしょう。
◆そして診断も独特です
病理で述べたように生活習慣などを含めその人を取り巻くすべての外的、内的環境がその人の体に影響を与えると考えるため、診断には患者様に係わる細かいデータが必要になります。それらのデータを得るために古来より四診法という方法を行います。四診法により得た情報をもとに総合的に分析し、「証」と呼ばれる診断をくだします。これを「弁証(べんしょう)」といいます。
◆最後は治療です
決定した証をもとに治療原則を決定し、ツボを選び、施術していきます。このことを「論治(ろんち)」と言います。
弁証と論治は一つの流れで「弁証論治」とまとめて言われ、この言葉と最初に出てきた「生体観」は東洋医学の代表的なキーワードです。