妊婦の腰痛・むくみの原因と産後の骨盤
妊婦の方の多くは妊娠中の腰痛と足のむくみに、出産後は骨盤のゆがみに悩まされています。妊娠すると起こるホルモンバランスの変化や、お腹が大きくなる事による重心の変化などが腰痛の原因と考えられます。妊娠してから出産後までリラキシンという骨盤の靭帯(特に恥骨結合)を緩めるホルモンが分泌されます。これにより出産時に赤ちゃんが骨盤を通りやすくなるのですが、土台である骨盤が緩んでしまうため、その上に並ぶ脊椎や頭を支える事ができませんし、歩くことも難しくなります。そこで骨盤周囲の筋肉は、緩んだ関節を支えようと緊張が強くなり、これが腰痛の原因の1つになるのです。
また、妊娠後期になりお腹が大きくなってくると、重心は前方へ移動し身体は前傾してしまいます。これを戻すため背中側の筋肉が緊張し、身体を後方へ反らしてバランスを取ろうとします。これによって腰部の筋、靭帯などに負担がかかり腰痛が起きてしまうのです。
妊娠中のむくみの原因としては
・ホルモンにより血液量が増加(妊娠中は血液の水分(血漿)が3割程度増加する)。
・運動不足による下肢のポンプ作用の低下。
・妊娠にともなう体重増加。
・血液の循環不足
などがあげられます。
リラキシンというホルモンは関節の靭帯や筋肉を弛緩させる作用があり、これが分泌されるのは生理前や妊娠3カ月~産後2,3日と言われています。
出産時は赤ちゃんがスムーズに産道を通れるように、リラキシンが作用して、骨盤の靭帯、特に恥骨結合を弛緩させて産道を広げます。
この状態が骨盤が開いた状態と言えます。
骨盤の開きは赤ちゃんが産道を通った時が最も大きく開き、通過後の開きは徐々に小さくなります。産後、妊娠前の骨盤の状態に戻ることもあれば、戻らずに骨盤が少し開いた状態のままや、左右でずれた状態になってしまう方がいます。
産後の骨盤矯正には2種類あります。
①骨盤を矯正して姿勢を正す産後骨盤矯正。(姿勢矯正)
②開いた骨盤を閉じる産後骨盤矯正。(体型を戻す)
①姿勢矯正
妊娠・出産に伴う骨盤の歪みにより姿勢が崩れ、腰痛・肩こりなどが出てきたり、以前よりひどくなった方。
産後はリラキシンの効果により矯正しやすい状態になっています。ただし、歪みやすくもあるので何度も通うことと、日頃の生活の中で正しい姿勢を身につける必要があります。(産後、リラキシンの作用は1~2ヶ月ほど続くと言われています。)
②体型を戻す矯正
開いた骨盤を戻す矯正。大きくなったお尻を小さくするとともに、骨盤が正しい位置に戻る事によって筋肉が正常に機能するようになり、代謝が上がって余分な脂肪が燃焼されやすくなるので、産後きつくなって穿けなくなっていたパンツも穿けるようになったりします。
お家で出来る妊婦の腰痛・むくみ、骨盤の対策
腰痛対策としては・無理のない姿勢
前傾姿勢や後ろに反った姿勢は避けるようにしましょう。
長時間の立ちっぱなしもいけません。できるだけ椅子に座るようにしましょう。
腰が沈み込むようなソファは避けて下さい。
・冷やさない
お腹や背中はあまり圧迫の強くない妊婦帯や腹巻きを利用しましょう。
・骨盤の安定
医師に確認のもとに骨盤ベルトなどで骨盤を安定させましょう。
・運動
適度な運動で筋力低下の予防と血流を良くしましょう。
むくみ対策
・足先から膝、太ももにかけてマッサージをしましょう。
・足のツボにお灸をすると効果的です。(ツボの位置は医師、灸師に確認してください)
・塩分控えめの食事を心がけましょう。。
・ウォーキングなどの適度な運動をしましょう。
骨盤の対策としては
・良い姿勢の維持
・骨盤ベルトなどを使用して、正しい位置に骨盤を固定する。
などです。