東洋医学からみた不妊症
現代医学的には不妊症は大きく3つの因子が原因になって起こることが多いといわれています。①排卵因子25~30%
②卵管因子30~35%
③男性因子30~35%
そのほかにも原因のわからないケースや複数の原因が重なっている場合も多々あります。
これらの因子、原因は器質的なものと、機能的なものに分けられます。
器質的なものは疾患などや形態異常など、
臓器や組織が本来持っている形を損傷していて妊娠に至らない場合です。
機能的なものは形態にはなんら異常はなく、
生理的な働きが落ちていて妊娠に至らない場合をいいます。
器質的なものに関しては現代医学的に治療を受けることが不可欠だといえます。
機能的なものが不妊の原因ならば
現代医学と併用して東洋医学の治療を行っていくのが良いかと思います。
また器質的な理由、機能的な理由どちらも含まれている場合は
やはり現代医学、東洋医学合わせての治療を行うのがお勧めです。
東洋医学では不妊の原因を考えるとき、
現代医学的に妊娠に関わる臓器(たとえば婦人科系臓器やホルモン分泌系など)や
それらの機能だけを診るのではなくそのひとの精神面も含めたからだ全体を診て原因を考え、治療をしていきます。
からだ全体を診る時にカギとなる一つがもともとの体質です。
そして冷えやストレスなど現在の状態がもう一つのカギとなります。
一つ目のカギである体質面での原因はその方の妊娠するための力の
先天的あるいは後天的な弱さが言えます。
先天的エネルギーの「精(せい)」とそれを蔵する五臓六腑の「腎(じん)」、
後天的エネルギーの「気」と「血(けつ)」それらを作る「脾(ひ)」、
それらを調節する「肝(かん)」が
妊娠には特に重要視されます。
体質的にこれら、「腎」、「脾」、「肝」のいずれかもしくは複数が弱いことにより、
「精」、「気」、「血」の不足が起きたり、
逆に体質的に「精」、「気」、「血」の不足や滞りがあり、
五臓六腑の働きが低下し、妊娠に至らない場合もあります。
冷えは東洋医学的にも様々な病態が関係し、症状としてでてきます。
特に多いのは血の不足(血虚・けっきょ)や血の滞り(瘀血・おけつ)、
水のめぐりが悪い(水滞・すいたい)、
緊張やストレスが強い状態(肝鬱・かんうつ、気滞・きたい)などが原因となる場合です。
ストレスが強いのは肝鬱や気滞、気が不足している気虚(ききょ)などが
原因となりやすいです。
これらの体質的な要因と現在の状態が絡み合って不妊症になっている場合が多いので、
当院ではおからだや日常生活を細かくチェックして、治療にあたっていきます。
お灸のススメ
自宅でのケアとしてはお灸をお勧めします。不妊症を訴える方の多くは何かしらの冷えを持っている方が多いです。
そのために温めるという意味が一つ。
それからお灸は血を養うのに適しています。
血の不足である血虚だけでなく、
瘀血の背景にも必ず血虚はありますし、
肝の病態にも血の異常は関係しやすいのでお灸はお勧めです。
また、お灸の香りはリラックス効果が期待できます。
ただし、中にはおからだが熱に傾きすぎているタイプの方など、
お灸を使用するのに適してない状態の方もみえます。
ですから、鍼灸師など専門家にご相談のうえ、
ご使用いただくことをお勧めします。
当院では、おからだの状態を把握したうえで、
自宅ケアをご提案させていただきます。
よろしければご相談ください。